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陳 振茂; 青砥 紀身; 加藤 章一; 永江 勇二
JNC TN9400 2000-022, 46 Pages, 2000/03
本研究では、SUS304ステンレス鋼における自然磁化と機械損傷の相関に関する試験研究を実施した。単純引張試験及び両振疲労試験を用いて試験片に機械損傷を与え、フラクスゲートセンサーで試験中及び除荷後の磁化特性を測定した。その結果外部磁場をかけなくても塑性変形や疲労損傷により自然磁化が発生し、損傷の増加と伴い飽和することが明らかにした。切欠試験片に疲労き裂を入れた試験から、自然磁化は特に疲労き裂の検査に有効であることが判った。更に疲労試験中測定した磁場信号の処理により、疲労損傷の検出に適用可能な信号の特微量(磁場・ひずみヒシテリシス曲線の面積)を提案した。最後に塑性変形を与えた試験片に対して永久磁石励磁による残留磁化の分布を測定し、残留磁化は塑性変形が十分大きくなると増加する傾向があると判った。上記内容から、損傷誘起自然磁化は絶対値が小さいものの、特微量の抽出やセンサーの工夫によって損傷状態の監視に十分適用可能であると考えられる。一方、自然磁化の測定は走査検査への適用のためにまた努力する必要があるが、これに対して残留磁化に基づいた手法は有効である可能性が高い。なお、提案手法を実機環境への応用に至るまでは、異なる試験条件下の挙動や実環境ノイズの影響の確認などさらなる研究を重ねる必要があると考えられる。
村松 壽晴; 笠原 直人; 菊池 政之; 西村 元彦; 上出 英樹
JNC TN9400 2000-010, 168 Pages, 2000/02
サーマルストライピングは高温と低温の流体が構造材に交互に接することにより、構造材の温度分布が時間的に変動し、結果として構造材に熱応力による高サイクル疲労を生じさせる現象である。ナトリウム冷却高速炉では、ナトリウムの高い熱伝導率により流体側の温度変動が構造に伝わりやすいため特に留意が必要である。本現象は流体と構造の境界分野にある複雑な現象であることから、十分な解明がなされておらず、設計では構造表面での温度変動幅を考えられる最大温度差である流体の混合前温度差とするか、モックアップ試験により温度変動幅等を測定した上で保守的に設計条件を定めることが多い。また、その方法はルール化/基準化されていない。これに対し、著者らは流体と構造の両面からの分析により、流体側の温度変動の発生から構造内への伝達までの過程を現象論的に明らかにしつつあり、熱疲労に対する支配因子として温度ゆらぎ振幅の減衰に着目している。これまでに、流体内、熱伝達、構造材内での変動の減衰を考慮し、疲労損傷、き裂進展まで評価できる解析コードシステムを構築してきており、実機解析を通してその適用性を確認した。今後は、実験検証を継続して一般化していく予定である。さらに、高速炉の経済性向上に寄与するためには、温度変動の減衰を含め熱荷重を合理的に評価し設計に適用できる「サーマルストライピングの評価ルール」を確立する必要がある。その原案を構築し、大きく2つの道筋を立てた。すなわち、現象解明を進めることによって、温度ゆらぎ振幅の減衰機構等の支配メカニズムを忠実にモデル化した詳細解析手法を提示するとともに、安全率を明確にした見通しの良い簡易評価手法を提案し、解析に基づく詳細評価手法と並行して選択できる評価体系を整備する。本報ではこの目標に必要な実験計画を策定し、さらにより一般的な熱荷重の取り扱いについて検討した。
陳 振茂; 青砥 紀身; 加藤 章一
JNC TN9400 99-061, 32 Pages, 1999/07
本報告書では、自然磁束漏洩からき裂・損傷を非破壊的に検査する研究の一環として、測定した磁束信号より材料における磁荷分布(損傷による)の再構成を行った。この代表的な非適切問題には最小自乗法に基づいた反復計算アルゴリズムを用いた。問題を適切化するために初期値、重み係数及び反復計算の回数の選び方を検討した。シミュレーション信号を用いた再構成結果より、本手法がノイズの少ない信号に対して有効であることを確認した。ノイズに対するロバースト性を向上するために、ウェーブレットをガラキン法に適用した手法をシステム方程式の離散化に導入した。最小自乗法と比較した結果、ウェーブレットを用いた手法はS/N比の低い信号に対しても有効であることが判った。本報告書では最小自乗法に基づいた手法を1次元及び2次元の磁荷分布、ウェーブレットを用いた手法を1次元の磁荷の再構成に適用し、提案した手法の妥当性を実証した。
庄子 哲雄*; 渡辺 豊*; 駒崎 慎一*; 川原 鉄士*
PNC TJ9601 96-003, 38 Pages, 1996/03
本研究では,高速炉構造用316FR鋼についてクリープ疲労損傷の非破壊検出法の開発を目的として,電気化学的手法,集中誘導型交流電位差法(ICFPD)による検討を行った。キャビティの優先的形成箇所となる粒界析出物の定量的検出を目的とし,電気化学的手法の適用性を検討した。1N KOHおよび1N H2SO4+KSCN溶液の2種類の検出電解液を用いたアノード分極曲線の計測を行った。1N KOHにおいて,粒界析出物の選択的溶解に対応するピーク電流が観察され,粒界析出物の析出量という側面からクリープ疲労損傷を検出できる見通しが得られた。また,粒界析出に伴うCr欠乏層の形成に着目した1N H2SO4+KSCN溶液を用いたアノード分極の結果から,損傷度と再活性化率とを対応づけられることが示された。集中誘導型交流電位差法(ICFPD)を用いたクリープ疲労損傷材の計測では,新材と損傷材の間に明確な差が認められた。詳細な検討は今後の課題であるが,電位差信号は,キャビティ,析出物,表面き裂等のクリープ疲労における微視的損傷因子を反映しているものと期待され,電位差の連続モニタリングによるクリープ疲労損傷検出の見通しが得られた。
古橋 一郎*; 若井 隆純*
PNC TN9410 94-201, 301 Pages, 1994/04
FBR構造物の破壊力学的評価のため、簡易法き裂解析コード体系CANISの開発改良を行った。同体系はCANIS-G,K,Iからなる。クリープ疲労き裂進展評価コードCANIS-Gでは以下の改良を行った。1.1 平板および内面き裂付きの円筒に加え、外面き裂付きの円筒も取り扱えるようにした。1.2 円筒の軸曲げモメント荷重も取り扱えるようにした。1.3 熱過渡荷重等の変位制御型荷重を容易に取り扱えるようにした。1.4 これらを容易にするため、正味断面形状関数と応力拡大係数解のライブラリを拡張整備した。1.5 材料データライブラリを拡張整備した。PNCが取得した7鋼種の弾塑性応力ひずみ関係式、クリープひずみ式、クリープ破断式および疲労破損特性をライブラリ化した。1.6 現在から過去に向かって時間積分し、過去のき裂形状を逆算する逆方向解析機能を追加した。また新たに破壊力学パラメータ評価コードCANIS-Kとき裂発生確率評価コードCANIS-Iを開発した。CANIS-Kは以下を行う。2.1 入力されたき裂形状に対して、応力拡大係数K、J積分値、クリープJ積分値等の破壊力学パラメータ計算結果の詳細(過渡事象内の時刻歴、最大値、最小値など)を出力する。2.2 き裂進展速度、開口面積および漏洩量を計算出力する。CANIS-Iは以下を行う。3.1 き裂無し断面の時間依存の疲労損傷値およびクリープ損傷値を計算評価する。3.2 疲労き裂発生に対応した疲労損傷値の統計分布関数およびクリープき裂発生に対応したクリープ損傷値の統計分布関数を参照し、時間依存のき裂発生確率を計算評価する。これらCANIS-G、K、Iでは入力データフォーマットおよび使用サブルーチンの共通化が図られ、将来のコードの改定拡張が容易かつ統一的に行えるようにした。CANISは以下の領域で有力な計算コードであり、その利用が期待される。4.1 き裂付き構造物の余寿命評価。き裂無し構造物のき裂発生時期の予測。4.2 プラントの破壊力学的信頼性評価および最適構造設計。4.3 プラントの最適運転計画および最適補修計画の立案。4.4 各種破壊力学試験の試験条件および試験片形状の最適設計。4.5 各種破損事故のシミュレーション。き裂発生時期あるいは負荷荷重の逆算推定。本報告はCANISコードの数学力学モデル、使用マニュアルおよび解析例を
浅山 泰*
PNC TN9410 90-053, 56 Pages, 1990/02
本報ではPNCが東芝に委託して行った多軸クリープ疲労試験結果(単軸疲労,純ねじり疲労,純ねじりクリープ疲労,比例重畳疲労,比例重畳クリープ疲労)を前報までに提案した多軸クリープ疲労評価法に基づき評価した。その結果次の知見を得た。PNCの多軸疲労/クリープ疲労試験結果と東芝の多軸疲労/クリープ疲労試験結果はほぼ良好に一致するが,純ねじり疲労/クリープ疲労については東芝データの方が長寿命となる傾向がある。これは両者におけるヒートの相違が原因ではないかと思われる。(1) 純ねじりクリープ疲労においてピークひずみ保持時間を3分あるいは60分の間で変化させると,クリープ疲労寿命は保持時間の増加とともに低下する。この傾向はひずみ保持時間60分ではまだ飽和しているとは言えない。(2) 純ねじりクリープ疲労において,15分の片側保持に対して,反対側のピークに3分あるいは15分の保持時間を設けても,特に寿命の回復は観察されない。(3) PNCデータに基づき前報までに提案した多軸クリープ疲労評価法で東芝データを評価すると,非安全側にはfactor of 2程度,安全側にはfactor of 5程度で全体的には保守的に評価することが可能である。